【君たちはどう生きるか】
僕はジブラーではないので、細かい描写の考察や、ストーリーの考察なんかはいたしません。そういうのは、そういうのを仕事にしている人たちがお金をもらってやればいいわけで、別に自分の白痴さを電波にのせて発信したいとは微塵も思いません。
映画館に行く道中、鳥の死体をみつけて、おやこれは何か暗示的だな、とか思いつつ映画を見終わって、やはり帰りの道中でも鳥の死体はそのままの状態で放置されていました。
この映画が何を暗示しているのかを考えることは、置き去りにされた鳥の死体が何を暗示しているのかを考えることと同じような気がします。
アニメ―ション
さすがジブリと言わざるを得ませんでした。もうすっごいヌルヌル動きます(実際ヌルヌルした何かがたくさん出てくる)。
虫や鳥、魚やよく分からない生物まで、あらゆる空気感や質感、動きなんかが舌を巻くほど滑らかです。
そういう質感や空気感を絵と音だけでつくりだすこと自体が難しいはずなのですが、これを当たり前のようにやっているから本当にすごい。
炎の中を疾走するシーンや海の中に入っているシーン、本当に生きが詰まりそうになります。また満点の星空や風の吹く草原なんかはとても開放感溢れています。
背景の作画もとても綺麗で魅了されました。東京大空襲によって疎開せざるを得なくなり、地方の豪邸に移り住むことになりますが、その古きゆかしき田舎もまた味わい深いです。
音楽
久石譲さんです。か細いピアノソロは主人公の未熟さと若さをよく表していました。とても繊細で傷つきやすいけれども、時に冒険心と好奇心に溢れた、ファンタジー感溢れる、そんな音楽です。
こういう青い音楽って日本のアニメ映画によく合うんですね。
音響
先程にも書きましたとおり、質感を出すための効果音はとてもリアルでした。本当に映画の世界に入ってしまったみたいな感じで、自然でした。
声優に関しては、特に不自然には感じませんでした。ただ、役柄に関係なく老若男女から選んでいたことには、俳優さんたちの力量の底深さを感じました。菅田将暉さんすごいですね。
音楽の入れるタイミングもしっかりしていました。キャラクターの動きに合わせてカットが切り替えられて、そのタイミングで適切なBGMを挿入。観客を感慨深い思いにさせること間違いなしです。
総じて
youtubeに米津玄師さんと菅田将暉さんの対談が公開されていました。そちらをみると、やはり「君たちはどう生きるか」というバトンを引き継いでいくのが人生なのだと考えさせられます。
戦後78年。個人的にはまだそれくらいしか経っていないと感じています。未だに太平洋戦争は続いていると思っていますし、戦争の余韻というか余波というものはいつまでも残ります。
そろそろ太平洋戦争が幻想としてしか語り継がれなくなる時代に突入します。イメージの歴史しか知らない人間たちが、果たして平和を維持していくことができるかどうかは分かりません。
しかし、米津さんと菅田さんは50年後も生き続けたいと言っていました。生きて世界を見続けたい、そう言っていました。
宮崎駿からの、そして戦後世代からのバトンを明るいものと捉えるか、陰鬱とした懐疑心で捉えるのかは人それぞれですが、この映画を見ればしっくりとした答えが見つかるかもしれませんね。
僕はみつけました。なんとなくですが笑